進化する!一般事務職
【 2004年11月 】
【 Case1 】
新潟ファイナンシャルプランニング 経理環境改善コンサルタント 田村夕美子

一般職こそ、利益やキャッシュを生み出す仕事をしなきゃ!
〜 あなた独自の風を巻き起こして、会社にも自分にも付加価値アップを 〜

 「利益やキャッシュを生み出す仕事」と聞くと一般職の皆さんは、どんな仕事を思い浮かべますか?たとえば、こんなことを発想するのではないでしょうか?

  • 企画部が売れ筋商品をプランし、営業部が一丸となって売りまくる。
  • 経営者が儲けの仕組みを試行錯誤し、戦略的に経営プランを練る。

 いわゆる経営企画を行う幹部候補、営業、企画部など、花形といわれる職種の人間が先頭に立って行う仕事のこと。せいぜい一般職が出来ることといえば、経費節減とばかりに「コピーの裏も再利用しましょう」と呼びかけ、または社内のトイレットに「節水!」と注意書きを貼ることで精一杯。「あとは日々のデータ入力などの業務で一日が終わるからそんな仕事など出来やしない」と嘆いていませんか?

 大多数のビジネスウーマンは、今より「幸せになりたい」「出世したい」「高収入を得たい」こんな欲求があると思います。又、上昇志向の強い人の中には「私が、いるべき場所はここではない」と転職をにらみ、やみくもに資格取得などの勉強をする方も多く見受けられます。

 しかしそれは、悪いことではありませんが、今自分が行っている仕事の枠から一歩も踏み出すことなく、他の世界に目を向けていては、将来何をしようとしても成功は難しいと私は思います。

●決算書を読めるようになれば仕事の取り組み方が変わる。

 決算書は、経理部門の人間や経営陣が理解すればよいことと思われていた時代は過ぎ去りました。あなたが働く企業で第一線にいる人達に聞いてみてください。

 おそらく大多数は、「数字が読める人」だと思います。これは、自分が取り組んでいるプランや商品が会社の利益にどの位貢献出来るかなど数字に換算出来る思考力がないと仕事にならないからです。

 今月から6回に渡り、「ウーマン商事株式会社」で一般職として働く6人の女性達のお話をします。彼女達は、自分の担当業務を通して「新風」を巻き起こし、会社と自己に付加価値をもたらせたサクセスウーマン達です。なにかしらあなたへもヒントをプレゼントしてくれることでしょう。

 

第一回 営業事務 波瑠子(はるこ)さんの場合
○今までの仕事の仕方

 波瑠子さんは、営業事務を担当。総合職営業のアシスタントをしていた。主な仕事の内容は見積書や請求書などを言われた通りに清書することや、不在の営業マンのメッセンジャーいわば、電話番。短大を卒業し、今春で入社5年目を迎えたが新入社員の頃とほとんど仕事内容は変わらず。
 仕事は嫌いではないので続けたいが、欲を言えば昇進もしたい。でも何もしなければ状況は変わらないのは知っている・・・
              
○ 波瑠子さんの「新風」“目標売上達成=最終目的 打破作戦。”

 波瑠子さんは自社の取扱商品の調査を始めた。商品の仕様のみならず、商品が完成するまでに使用される材料や販売された場合の利益、さらには、材料はどこから仕入れてくるのか、その仕入価格の相場も調べた。今までは機械的に、見積書や請求書を作成していたが、お陰で商品の価値や価格設定の意味を以前より多く知ることが出来た。これらの調査をしたことで、よく営業マンが得意先からの強引な依頼を断れずムリな値引きに答えていること、古典的な接待も横行していることに疑問を感じ始めた。さらに波瑠子さんは決算書の読み方も勉強した。単に自己啓発のためだけではない。今までの営業の体質、目標売上達成のみをゴールとした考えを打破したいと考えたからだ。経理部より財務資料を取り寄せ、今後は目標数値を売上ではなく、利益に着目するべきだと上司に提案した。今までそれらの情報は営業幹部が把握するもので、平の営業職には公開されていなかった。

○ 波瑠子さんが、会社に与えた利益。

 波瑠子さんの提案が通り、 全営業部員が 月の売上と利益の数値を示すグラフを 営業部のサーバーに保存し、パソコンで見られるようになった。お陰で値引きや接待を餌にする手法は余り見られなくなり、他の方法で同業他社との差別化を図るなど、営業部員も効率のよい仕事をするようになった。波瑠子さんの前向きな仕事の影響で、営業部員全体に士気が高まったようだ。その年度の、「ウーマン商事」の決算書は・・・

  • 接待交際費(損益計算書の中の費用) ・・・減 → 利益アップ。
  • 売上総利益(損益計算書内上段)    ・・・増 → 利益アップ。

○ その後の波瑠子さん。

 経営全体を見渡せる本部の審査室へ異動。更なる情報収集、勉強を続け、今度は全部門の体制を整えることを目標とし、仕事に邁進している。

 

解説―波瑠子さんが吹かせた風とは…
 波瑠子さんは、新風を巻き起こす前はいわば「与えられ仕事」をしていました。 「言われたとおり」に仕事をこなすだけの毎日・・・入社5年を迎えても、仕事内容は「新入社員と変わらず」
 もし、風を吹かすことをしなければ10年後、15年後もなんら変わることなく働いているか、逆にリストラの風に巻き込まれたでしょう。

★ 営業部は会社の大黒柱である「売上総利益」を創造するクリエーター集団。

 波瑠子さんは以前、自社の「商品」といえば見積書の清書などでしか関わりがありませんでした。そこで、自己の仕事の認識を深めるために自社の「商品」がどのような流れで作られ完成し、お客様に販売されるか、そのプロセスを調査したのです。
 これに加えて決算書の見方を勉強し、「何円費やして作った商品を何円で売り、何円儲かりました」という商売の流れの結果が「損益計算書」の中の一番土台となる「売上総利益」という名称で表われることを知りました。
 営業をする者は、一番土台となる利益を創造しなくてはならないと気づいた波瑠子さんは、今の営業の体質が「目標売上」を重視し、「利益」の観点が薄いことに疑問を感じ、この点を思い切って上司に改善を求め、営業部全体の士気も高めたのです。
 それと同時に波瑠子さんは、社内の「情報開示」を実現という偉業も成し遂げました。会社によっては、財務情報は社員に対して非公開とされているところもありますが、それでは社員が経営に参加しているという認識が薄いままです。「お仕事ごっこ」の自己満足で終わる危険性もあります。
 これらが評価され、波瑠子さんは今の会社でステップアップ出来たのです。

★ 波瑠子さんがアップさせた「売上総利益」の大切さ。

 次ページの損益計算書をご覧のとおり、損益計算書の中の「売上総利益」は5種類の利益の中で一番上に来ています。つまり、前述したとおり会社を経営していく中で一番の大黒柱となる利益です。この利益の中から会社経営に必要な費用を排出するのですから、大黒柱が頼りないと、会社全体がぐらつきます。
 もし、1個60円する商品を通常100円で売るとします。儲けは40円ですね。これを100個売ると、4000円の儲けです。しかし、値引きをして1個あたり90円で売ったとします。90円マイナス60円で 1個あたり30円の儲けしか出ません。 これを100個売ると3000円の儲けで、 100円で売った場合と比べると1000円も利益が薄くなります。この1000円の穴埋めをするには、通常で売った場合の利益率が40円÷100円で40パーセントですから、1000円÷40パーセントで、通常の営業活動の他プラスして、2500円も売らなくてはいけません。つまり1個100円の商品を、プラス25個売るエナジーが必要になります。
 この様に考えて見ると、安易な値引き対応など出来にくくなります。商品は会社が生み出した子供のように大切なもの。値引きや接待など、目先のことしか考えていない営業戦略は、影をひそめるでしょう。

 



簡単!決算書の見方。
 一般に決算書と呼ばれるものには様々な種類がありますが、代表的なものは貸借対照表と損益計算書の二種類です。しかし、近年では国際会計基準にならいキャッシュフロー計算書も重視されています。
 この連載では「損益計算書」と「貸借対照表」を簡単にご説明しましょう。第一回目は損益計算書です。
 この表は、会社がある一定の期間においてどれだけ儲けを生み出したかを見る、つまり
会社の成績書とも言えます。
 5種類の利益が表示されています。この内容を知りあなたが担当している業務を通して
どの利益をアップできるか、イメージを湧かせることが出来たら合格です。
 あなたの担当業務も「利益やキャッシュ」を創造する、精度の高い仕事に変身することも近いはずです。
 

◆ これが損益計算書 (Profit&LossStatement)

・会社がある一定期間にどれぐらい利益を生み出したかを示す成績表だよ。

(↑クリックで拡大画像が表示されます。)

 

田村夕美子さんのプロフィール

 新潟ファイナンシャルプランニング 経理環境改善コンサルタント。建設業、エステ業、化粧品販売、フードビジネス等20年に渡り幅広い業種の経理を担当。一担当者から総括、管理職など様々な立場を経験。
 近年では、医療法人にてサラリー経理ウーマンとして働く傍ら、夫が立ち上げたファイナンシャルプランニング事務所の経営プランニング担当として活動中。又、経理情報雑誌に誌上講座も執筆している。
 “現場に強い!利益とキャッシュと幸せを生む経理”をモットーに自らを「経理環境改善コンサルタント」と命名し、中小企業の経理担当者のマインドを高める使者を目指す。

●新潟ファイナンシャルプランニング ・・・ http://nfp.cc

 

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