【 file119 映像翻訳者 】
「1秒4文字」と言われる映画の字幕作成。心に響くセリフに訳して、スクリーンのクレジットに自分の名前を残す映像翻訳者は、憧れの職業の一つです。今回は、水澤清香さんにお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 水澤清香さん 】

●映像翻訳者歴2年。30歳。両親と3人暮らし。
●一番気に入っている作品は『DRAGONS ALIVE! 爬虫類の世界』(字幕、DVD)。「爬虫類の本をたくさん借りるなど調べ物が大変でした。翻訳者には調査力や好奇心のほか、細かなニュアンスの違いにこだわって最適な言葉を探す緻密さも大切です」


【映像翻訳者の仕事内容】

劇場公開される洋画だけでなく、地上波や衛星放送、DVD、Webなど様々なメディアで、海外の映像作品の日本語版が登場しています。その制作は素材の翻訳からスタートし、多くのスタッフの手によって完成されていきます。

水澤清香さんはフリーランスで活躍中。登録している制作会社を介して、主に映画・ドラマの字幕作品や吹替作品を翻訳。このほかドキュメンタリーや映画DVDの特典映像、音楽DVDなどの仕事を担当しています。

翻訳作業は、パソコン、テレビ、DVDやVHSビデオプレーヤーなどの機材を使って在宅で行います。素材を受け取ると、まず内容を確認し、納期までの作業スケジュールを設定。必要な調べ物は図書館やインターネットで行い、翻訳を仕上げて納品します。吹替作品の場合は、納品後に演出家や制作担当者、クライアントのチェックを受けて修正。完成した台本を受け取り、収録にも立ち会います。「自然な日本語に訳すのはもちろんですが、字幕の場合はパッと目で見て意味が分かるようにすること。また、吹替の場合は、耳で聞いて分かりやすいよう同音異義語を避けること、役者さんが感情を込めやすいセリフにすることを心がけています」


【映像翻訳者への道】

映像翻訳者になるには、ベテラン講師陣が基礎から教える専門学校に通うのが一般的。スクールがなかった時代は、翻訳者に弟子入りしたり、制作会社に就職するなど、独自の方法で目指していました。

水澤さんは文学部英米文学科を卒業後、損害保険会社に就職し、自動車保険や輸入保険の部署に勤務。その間、家族の病気をきっかけに在宅でできる仕事を模索するうち、大好きな英語や映画を生かせる映像翻訳という仕事に興味を持ちました。

その後、映像翻訳の短期セミナ―を3回受講して自分の適性を確認。本格的に映像翻訳の道に進むことを決心し、丸3年勤めた会社を退職しました。すぐに映像翻訳学校「映像テクノアカデミア」に入学。3年間、翻訳の練習のほか、英語、日本語、世界史などを学び、卒業後に独立しました。水澤さんが訳した代表的な作品には、『パンズ・ラビリンス』(吹替、DVD)、『アントラージュ★オレたちのハリウッド』(吹替、放送+DVD)などがあります。


【水澤さんの一日】
<在宅で翻訳作業をする日の場合>
7時: 起床。朝食、身支度、家事雑用など
9時: 翻訳作業開始
12時: 昼食
13時: 翻訳作業
18時: 気分転換にウォーキング、家事
19時: 夕食
20時: 翻訳作業
24時: 翌日の予定を立てる、入浴、雑用(忙しいときは翻訳作業を続ける)
26時: 就寝

【水澤さんにお話を伺って…】

転職に際しては、結婚・出産を経ても続けられそうという点もキーポイントの一つでした。実際に映像翻訳者になってみると、在宅で働ける満足感がある反面、ワークライフバランスのとり方が難しいとか。また、丸1カ月、1日も休みがないときや、急遽予定外の徹夜作業が入るときがあり、体力勝負なのだそう。「女性の割合が高いと思いますので、女性にとって続けやすい職業になってほしいと願っています」

水澤さんのモットーは、「観ている方が日本語を意識せず、作品そのものを味わえるような、邪魔にならない翻訳をすること」。そのために、独立後も日本語や英語の勉強を続けているほか、できるだけ時間を作って海外へ行くようにしています。手掛けたものが少しずつ増える中、自分の担当した作品を、そうとは知らずに友人が観て楽しんでくれていたことも。「それが分かったときは、頑張ってよかったと、とてもうれしく思いました」


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