【 file101 助産師 】
「産婆さん」から「助産婦」、「助産師」へ。出産に関わり、お母さんと赤ちゃんをサポートする助産師は、女性の職業として長い歴史があります。今回は、田中智恵子さんにお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 田中智恵子さん 】

●助産師歴8年。36歳。
●産科が減り、「お産難民」の出る時代。産科自体の存在が危うくなった病院を退職し、この秋からは、地域に密着した出産を行っている産科医の下で働いています。


【助産師の仕事内容】

助産師は、出産時の分娩介助のほかに、妊娠・出産・産後を通した身体的・精神的なケアやアドバイスも重要な仕事です。働き方としては、圧倒的に多いのが病院の産科などでの勤務です。また、助産院を開業することもできますが、取り扱えるのは正常なお産のみ。途中で異常が見つかった場合は、医師が対処しなければいけません。この場合、産科医との協力体制、高度医療施設との連携が大切です。

一方、分娩を扱わない助産師もいます。母乳や育児相談などを中心に開業する人。市町村に勤務して、母子訪問や健診などの仕事をする人。学校で「いのちの誕生・大切さ」について教えたり、不妊相談や不妊治療に関わる人など様々です。

田中智恵子さんは現在、産婦人科クリニック(診療所)に勤務。分娩介助のほか、妊婦健診で保健指導をしたり、母乳相談や乳房ケア、乳児健診なども行っています。安全で安楽なお産のために、妊娠期、出産、産後に至るまで、トータルにきめ細かく対応。「最近、産科をやめてしまう産婦人科医が増えてきています。産科医と助産師がもっと連携をとれば、お互いの負担も軽減して、より良いお産のサポートができると思います」


【助産師への道】

法学部の学生だった田中さんは、東南アジアを旅した体験から、国際協力を仕事にしたいと思っていました。それには専門技術が必要だと痛感。准看護師だった母親の勧めもあり、看護師になる決意をしました。その後、カンボジアを訪問した際、日本の援助の現場を見学。偶然、日本人の助産師が介助する出産に立ち会うことに。この出会いが、助産師を目指すきっかけとなりました。

助産師になるには、看護師と助産師の国家試験に合格する必要があります。受験資格は、看護大学(4年制)を卒業するか、看護師養成所の後、助産師養成所(1年間)を卒業することで得られます。看護学校では、人間の体のしくみや病気はもちろん、カウンセリング技術まで幅広く学習。助産課程では、助産師の仕事内容について勉強するほか、地域での母子保健事業を学ぶために市役所や保健センターなどで実習も。病院実習は、分娩介助を中心に、母親学級の講師を担当するなど、主に産科領域について行われます。

田中さんはこれらの課程を終え、看護師と助産師の国家試験に合格。病院で実務経験を積んだ後、青年海外協力隊の助産師隊員として西アフリカのセネガルで2年間活動していました。


【田中さんの一日】
<2交代制の病院勤務で夜勤の場合>
9時: 起床
10時: ブランチ
昼頃: 夜食の準備
16時20分: 出勤、カルテより情報収集
16時30分: 勤務開始、日勤スタッフの申し送りを聞く
17時: 点滴準備
17時30分: 夕食の配膳
18時: 下膳
19時: 受け持つ患者や妊婦の、体温や血圧などの測定・問診
20時: 看護記録記入
21時: 消灯、随時授乳指導
22時: 夜食、休憩
23時: 仮眠(2時間)
1時: ナースコールやお産の入院があれば対応、巡回など
5時: 朝食、休憩
7時: 巡回、採血など
8時30分 日勤スタッフへ申し送り

【田中さんにお話を伺って…】

妊婦さんの中には、複雑な家庭の事情があったり、人には言えないような悩みを抱えている場合も少なくないとか。「助産師には、“この人にだったら相談できる”と思われるよう信頼感を与えることや、人の話をよく聴けることが必要です」。また、お産に立ち会うので生活が不規則になりがち。「体力を素早く回復するために、自己管理能力も大切です」

以前、周産期医療センターに勤務していた田中さん。母体胎児集中治療室で、切迫早産や前置胎盤などのハイリスクな妊婦、救急車で運ばれてきた妊婦たちと接してきました。「残念ながら赤ちゃんを失ってしまったお母さんや家族をサポートするのも大切な仕事。授かった命の重みを一緒に感じながら仕事をしています」


◎ 助産師チエのホームページ サンバ WORLD
http://samba.babyblue.jp/


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