【 file25 放送通訳 】
今回お話を伺ったのは、ロンドン在住の柴原早苗さん(35歳)。イギリスの国営放送局、BBCの日本語部に所属しています。
■■ プロフィール ■■
【 柴原 早苗さん 】

●放送通訳歴:3年 年齢:35才

柴原さんが担当するのは、ニュースやドキュメンタリー番組を放送する「BBCワールド」。30分のニュースの場合、6人のスタッフでチームを組んで臨みます。ニュースキャスター役と、ニュースの流れを確認しながらひたすら訳を書く人が1人ずつ。後の4人は、世界各国の特派員が衛星回線で送ってくるニュースを分担して翻訳します。「現地の特派員には生中継で最新情報を伝えてもらうこともあります。事前にメモをとれないまま、同時通訳で対処することもよくあるんですよ」。

放送されるジャンルは、時事問題をはじめ芸術、科学、スポーツなど多岐に渡ります。日本語部ではそれら全てを翻訳するため、通訳者にも幅広い知識が必要。柴原さんは、普段から日本やイギリスの新聞を読んだり読書をしたりして、さまざまな分野の知識を吸収するよう心がけています。「全ての単語を聞き取れたとしても、内容にも精通していないければ、中身をきちんと伝えることは難しいのです」。一日中緊張感が続くため、終業時にはかなりぐったり。でも、世界の動きを肌で感じたり、様々な分野への見識が広がったりすることに大きなやりがいを感じているそうです。

柴原さんは、幼少期をオランダとロンドンで過ごしました。帰国したとき 中学2年生だった柴原さんには、日本がかなりアメリカ志向だと感じられたそう。「その頃から、イギリスに関わる仕事に就きたいと考えはじめました」。日本の大学を卒業後、資金を貯めてロンドン大学へ留学。就職活動もしましたが、ビザの関係もあり、叶わないまま帰国しました。そして「ジャパンタイムス」でBBCの求人広告を見つけたのが30歳のとき。合格通知を手にしてから、空きが出るまで2年半待ったのち、イギリスへ渡りました。

英語のスキルを生かして海外で働くことを目指す女性へ、柴原さんはこうアドバイスします。「英語を生かして働くなら、日本で就職する方が圧倒的に有利。海外生活が目的なら、期間を定めて行くのがいいと思います」。いちばん怖いのは、海外でも満足のいく仕事に就けず、かといって日本にも帰れない状況に陥ること。「英語圏の国で、いくら英語を流暢に話せても『自分はやはりアウトサイダーなのだ』と痛感することがあると思うのです。そういった孤独な状況でも、精神的に切り抜けられるかどうかが問われます」。

柴原さんは現在、初めての出産に向けて産休中。来年4月に復帰する予定です。「今後数年間は、子育てと仕事とのバランスに追われることになりそうです」。これまで自分が培ってきたことを、何らかの形で次の世代に伝授していきたい、と語る柴原さん。機会さえあれば、日本や他の国で暮らすことになってもいいと思っています。「人生は一度しかないので、長期目標を持って生きていきたいと考えています」。

◎ BBCワールド(日本)
 全世界 200の国や地域へ向けて、ニュースやドキュメンタリー番組を
 24時間放送。日本ではCATVや「スカイパーフェクTV!」で視聴できる
 http://www.bbcworld-japan.com/


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