【 file27 ドレス縫製家 】
映画やテレビでも目にすることが多い社交ダンス。踊りの美しさはもとより、ダンサーを彩るドレスには、うっとり見とれてしまいます。今回は、ダンス・ドレスの縫製を手掛ける谷みゆきさんに、実際の仕事についてお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■
【谷 みゆきさん 】

●ドレス縫製家歴:7年 年齢:27才
●7歳の息子を持つパワフルなシングルマザー。

軽やかなステップとともに揺れ動く華やかなドレス。谷みゆきさんは、そのダンス・ドレスの縫製を請け負う『アトリエμ(ミュー)』の代表代理。自分も含めた社員へ作業を振り分け、工程を管理するのが主な仕事です。また、手間取る仕事や急ぎの仕事を補うポジションにあります。メーカーより指示されたデザインを元に、送られてくるパターンや素材を使ってドレスを製作。できあがったドレスは、大阪心斎橋にあるメーカー直営店舗に並び、一般の人へ向けて販売されます。

谷さんの家は、もともと京ちりめんの婦人服の縫製業者でした。ところが時代の流れもあり、ドレスの縫製へ転向。特に縫製の学校にも行かず、ドレスを縫い始めた谷さんでしたが、まさに天職だったよう。取りつかれたようにドレス縫製にのめり込みました。「ドレスって、縫っている時は手間取って苦労しても、仕上がると本当に『きれい』の一言なんです」。自分たちの縫ったドレスをダンサーが身にまとい、ここ一番の舞台で最高のダンスを踊ってくれる、そう思うだけで嬉しくなるそう。

ダンス用のドレスには、さまざまな生地が使われているため、縫製をする上では苦労が多いとか。配色や、複雑な工程を間違えないよう気も使います。「ダンスは動きが激しいので、丈夫に、しかもうまく伸縮するように仕上げなければなりません。縫うコツは勉強の毎日です」。しかし最も難しく大切なのは、ドレスに対する顧客の思いをつかみ取り、相手の希望するデザインに仕上げること。日々、センスアップに余念のない谷さんです。

また、管理者として感じるのは、縫製の仕事には『この仕事を好き』という強い気持ちが資質として不可欠だということ。「縫製を好きな人は、こちらの言っている事を、スポンジに水を含ませる様に吸収しますが、そうでない人は石の様に吸収力がないんです」。ドレスの華やかさとは裏腹に、縫製の仕事はハードな職人の世界です。今の成功があるのは、期待に応えてきたその結果。『責任を持って、ベストを尽くす』をモットーに、細く長く続けていって……気がつけば「紫綬褒章」なんて感じが理想とか。

ワーキングマザーでもある谷さん。仕事が「緊張」なら育児は「緩和」と語ります。ストレスを向け合わず、たっぷりの愛情を注ぎ合えるよう、適度な距離とバランスを保つことを心掛けているそう。「周りの人達には多く助けてもらっています。だから息子の産みの親は私でも、育ての親は周りに沢山いるんですよ。なんだかんだで楽しくやってます」。息子さんには、ドレスよりママの方がずっとまばゆく見えるのでしょうね。


『アトリエμ』 の作品
<(株)タカ・ダンスファッションの直営店「トゥインクル」(大阪心斎橋)にて販売>

 TOPページへ戻る