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早川さんの職場は、両国国技館の東隣にそびえる高床式の白い建築物、江戸東京博物館。江戸から東京の
400年にわたる歴史や文化を守り、未来に伝えています。ここには30名ほどの学芸員がおり、仕事内容は資料の収集、収蔵庫での保管、展示・講座の開催、印刷物の発行など多種多様。早川さんは、資料係という部署に所属し、都内のいろいろな場所を調査して、古い資料を寄贈してもらったり、収蔵庫の環境を調節したりしながら、資料が後世まで残るように管理しています。
また、年に数回開催される「企画展」も担当。学芸員が自分の関心のあるテーマについて構成を考え、他の博物館からも資料を借用して、展示を組み立てます。「企画展を担当して、多くの方に見ていただき、良い企画だったよと言われると達成感を感じます。“表現者”としての自分を再認識できますね」。早川さんがメインとなって企画したものでは、「あこがれのモダン住宅」展(1996年)、「東京建築展
住まいの軌跡・都市の奇跡」(2001〜2002年)があるそう。
実際に学芸員の職につくのは相当な難関といわれます。「一度学芸員になってしまうと、なかなか辞めないんですよ(笑)。だから、定期的に新規採用があるわけではなく、募集情報も、公立の館の場合は自治体の広報誌にちょっと載るだけということが多いのです。かなり気を付けて情報を収集しないと応募することさえできません」。早川さんは、高校生のころ、上野公園にある博物館や美術館に何度も行くうち、こういうところで働きたいと思いはじめ、大学で学芸員を志すことを決心、日本の各地の博物館や美術館を回ったとか。そして大学4年の時に、開館したばかりの江戸東京博物館の職員募集に応募、合格しました。
しかし、なりたい職業、やりがいのある仕事に就いたとはいえ、学芸員なりの辛さも。「調査・研究は、ここまでで終わりということが無いので、果てしない山を登っていくような気持ちになることがあります。アイディアに詰まると、自分には向いていないのかと落ち込んだり」。そんな悩みは、持ち前の行動力で克服します。「国内・海外を問わず、他の博物館や美術館の情報収集を欠かしません。ネットや雑誌、新聞、テレビ、同業者の友人など、媒体はさまざまです」。
収入は、東京都の事務系職員とほとんど変わらず、休日は不規則勤務。「保育園はカレンダー通りしかやっていないので、土日や祝日の出勤日は、夫が子ども二人を見ています。そのやりくりが大変なことも多いですね」。
「学芸員は、歴史や文化に興味のある人なら誰にでも向いていると思います」という早川さん。とはいえ、歴史や文化を保存していくという使命感や、多くの人に興味を持ってもらうための企画力など、単に「好き」だけでは勤まらないのも事実です。静寂に包まれ、整然としたレイアウトの陰には、学芸員の方々の熱い思いが行き渡っているのだということを改めて感じました。
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