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産業カウンセラーとは、企業や公共機関などの職場で、心理学的な手法を用いてカウンセリングを行う人のこと。働く人が心に抱えている問題を、自分の力で解決できるように援助し、助言するのが仕事です。相談の内容を分類すると、ストレスコントロールを行う「メンタルヘルス対策」、職業能力のアップにつなげる「キャリア開発」、リーダーシップやコミュニケーションスキルを指導する「人間関係開発」の3領域に渡ります。「相談内容は、職場の人間関係をはじめ、転勤、転職、仕事への適性、さらには家庭問題、子供の教育問題などさまざま。対象となる人が社会人なので、経済的な問題も常に関係してきます」。
産業カウンセラーは、社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格で、初級・中級・上級の3段階があります。以前は厚生労働省により認められている公的な資格でしたが、2001年9月より民間資格になりました。協会では産業カウンセラーの養成講座を開講していて、160時間(約7カ月)のカリキュラムで、試験に必要な理論や実技などを学ぶことができます。河合さんは、仕事をしながら週に1日、午前9時〜午後5時の養成講座に通って勉強し、試験を受けて、初級産業カウンセラー資格を取得しました。
医療関係の仕事に従事していることが、資格取得の必須条件というわけではありません。河合さんが受講した養成講座のクラスメート12人中、医療従事者は河合さんを含めて2人。企業の人事部に所属する人や、教育関係の人が多かったそうです。平成13年度の初級産業カウンセラー試験受験者数は3117名で、合格者数は2099名(合格率68.5%)。「民間資格になったことで、以前よりも取得しやすくなったと思います」。養成講座は土日や夜間に開講されているコースもあり、通信講座もあるので、仕事をしながらでも勉強しやすいといえます。
河合さんが産業カウンセラーを志したのは、企業の健康相談室で働いていた時でした。「体の相談でいらした方の悩みをよく聞いてみると、精神的な悩みを抱えた、いわゆる心身症の方が多かったんです。医学的な知識や経験だけでは対応できなかったため、勉強して資格を取ろうと思い立ちました」。河合さんが産業カウンセラーとして話を聞くことで、相談に訪れた人が、自分らしく生きる道を見つけて歩み出した時には、母親のような気持ちになるのだそう。一方、効果的なカウンセリングを行うためには、さらに専門的な知識と理解が必要と痛感することもあります。
現在のところ、「産業カウンセラー」の肩書きだけで十分な収入を得るのは難しい状況です。河合さんの場合は、保健所で訪問指導員をしていた経験を生かし、健康保険組合主催の介護セミナーや、専門学校でのヘルパー養成講座の講師なども務めています。「産業カウンセラーとしての仕事の方が現在は少ないです。比率としては、産業カウンセラーが4、その他が6くらいでしょうか」。
年間の自殺者数が3万人を超えたことで、企業は雇用者責任としてメンタルヘルスに力を入れる傾向があり、産業カウンセラーのニーズは増えていくと河合さんは考えています。産業カウンセラーに向いているのは、話を聞くだけでなく、患者さんに心から共感できて、かつ客観的にも見られる人。「産業カウンセラーを目指す方は、人の話をしっかり聞くことを普段から心がけると良いと思います」。また、カウンセラー自身が安定した精神状態でいられること、自己確立がしっかりできていることも重要な資質です。現在の河合さんは、財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する「臨床心理士」の資格を取るために、大学に通学中。「専門的な知識はもちろん、カウンセラーとしてとても大切な、感性も磨いていきたいと思っています」。
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