【 file45 行政書士 】
テレビドラマ「カバチタレ!」で一躍知名度がアップした「行政書士」という職業。今回は、会社員から転職して行政書士事務所を開いている、大江亜里朱(ありす)さんにお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 大江亜里朱さん 】

●行政書士歴2年。30歳。
●夫と保育園に通う子供2人との4人家族。


行政書士は「行政書士法」で定められた国家資格。依頼者から報酬を得て、官公署へ提出する申請書類などの作成や提出を代行する、行政手続きのスペシャリストです。近年は、書類作成の相談に応じる、法務コンサルタントとしての役割も重要になりつつあります。行政書士が作成する書類は、建設業許可申請・会社の設立といった許認可に関わる申請書類、遺言書などの権利義務に関する書類、会計記帳などの事実証明に関する書類まで多種多様。カバーする業務の広さから、扱うことができる書類は数千種類に及ぶとも言われます。

幅広い業務を1人ですべて行うのは難しいため、実務においては、専門分野を持つ人がほとんどです。大江さんが専門とするのは、建設業・宅建業・風俗営業の許可申請と、会社設立、法人設立、会計記帳。特にこの分野を専門にしたいと考えていたのではなく、仕事をしているうちにそうなったのだそう。今後は、外国人関連の入管業務や帰化申請などもしていきたいと考え、入管業務に関する講習会を修了した行政書士に与えられる、「申請取次行政書士」の資格も取得しました。

会社員だった大江さんが行政書士を目指すきっかけとなったのは、妊娠でした。「子供とできるだけ一緒にいられるように、自分でスケジュールが管理できて、夫に万が一のことがあっても、子供を養えるような仕事をしたいと思ったんです」。そのために何か資格を取ろうと考え、「実務経験がなくても独立できる」「試験が難しすぎない」ことをポイントに、行政書士を選択しました。

行政書士になる資格は、(財)行政書士試験研究センターが行う「行政書士試験」に合格すると得られます(弁護士、公認会計士、弁理士、税理士のいずれかの資格を持っているか、公務員として行政事務を行った期間が一定の条件を満たしていれば免除)。平成14年度の受験者数は約6万7000人で、そのうち女性は約2万2000人。合格率は19.2%です。さらに、資格を取得してから行政書士として開業するには、日本行政書士会連合会へ登録する必要があります。

大江さんが試験勉強を始めたのは1998年3月。10月の試験を目標に、通信教育で勉強しました。法律の知識はまったくなく、ゼロからのスタートです。平日は5〜10分でも時間が空けば問題集の解答にあて、1日に合計1時間程度。休日には、法律を中心に2〜3時間程度勉強しました。会社を続け、産休をはさみながらの最初の試験は失敗しましたが、翌年の2回目の試験では見事合格。大江さんは、開業費用を翌年夏のボーナスでまかない、9月には会社を退職して、行政書士として事務所を開きました。

行政書士試験の合格までに大江さんがかけた費用は、通信教育に4万円、模試に1万円、参考書3〜5冊分が1〜2万円で、合計6〜7万円程度。開業するにあたっては、行政書士会への登録費用が約25万円。さらに、大江さんの場合は、行政書士の実務学校にも通学したため、その学費として15万円かかり、そのほか営業用のホームページの開設費用、事務用品の費用などと合わせて、合計で50万円程度かかりました。

開業当初は、近所の司法書士や税理士などに積極的に営業しました。「定期的に挨拶回りを重ね、人脈を増やすことで、仕事を紹介してもらえるようになりました」。また、勤めていた会社の関係で、数社と会計記帳を顧問契約したり、先輩の行政書士から下請で仕事をもらったりして、経験を積むことができたそう。そして、営業のために作成したホームページが「Yahoo! JAPAN」に登録されたことから、ホームページ経由の仕事依頼も増加し、経営が本格的に軌道に乗りました。現在の売上は月30万円以上をキープし、収入は会社員時代よりも増えています。

大江さんは、現在の仕事にとてもやりがいを感じています。「1人で完結する仕事なので成果がわかりやすいし、自分でスケジュールを組めるため、子供が急に病気になっても融通がきくのがいい点です」。書類の作成は細かい点に気を使う作業なので、女性の方が向いていると言われています。また、依頼者の中には、「女性の方が話しやすくていい」という人も多いそう。「行政書士には、依頼者の相談内容と意向をよく理解する力が必要。話を聞くのが上手で、社交的外交的な人が向いていると思います」。

◎ 大江経営法務事務所
http://www.ohe-net.com/


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