【 file50 ガラス工芸家 】
灼熱の工房で、長い棒の先から魔法のように創り出されるガラス作品。
今回は、ガラス工芸家として働く柴田美智子さんにお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 柴田 美智子さん 】

●ガラス工芸家歴 4年、32歳。
●一人暮らし。休日は、自然を楽しみに山や旅行へ。「ふと気づくと、“これはガラスのデザインに生かせないか”と考えていたりします」。


観光地のガラス館などで、ガラス制作の実演を目にしたことはありませんか?1200度を超える炉のそばで、ガラスをイメージのまま、自由自在に操るガラス工芸家。柴田美智子さんは、数少ない女性のガラス工芸家の一人。福島県にある「世界のガラス館・猪苗代店」で、観光客向けに宙吹きガラス制作のデモンストレーションをしています。コップや花瓶などは10〜15分で制作しますが、たまには1時間くらいかけて大作を作ることも。作品は、翌朝に完成すると、値札を付けて売り場の陳列棚に並べます。また、吹きガラス体験の希望者に、コップ制作の指導をするほか、消耗の激しい溶解炉の補修工事をしたり、前日から原料を投入して煮溶かしたりするのも、柴田さんと、もう1人の女性スタッフだけで行っています。

東京出身の柴田さんは、大学卒業後、大型量販店で4年間インナーウェア売り場を担当していましたが、「窓のない職場、その仕事への閉塞感で、何もやりたくない鬱状態になってしまいました」。そんな時にガラス工芸の専門学校があることを知って心が動き、試験に受かったので退社。柴田さんが、26歳のことでした。「学校に入ってみると、10代から50代までと年代も幅広く、外国人など、いろいろな人たちがいました」。2年間の基礎科でさまざまな技法を学んだあと、研究科に進み、1年間さらに高度な技法を習得。そして、福島の工房に就職し、そこでの2年間で宙吹きと工房での仕事を覚え、ステップアップを求めて昨年4月に「世界のガラス館」に移りました。

自分らしさを発揮できずに働き続けるのは辛いもの。自分の道を見つけたいと悩む人へ、柴田さんはこうメッセージを送ります。「アンテナをいっぱい張って、“自分はやりたい!”というのを前面に出し、まず動いてみること!自分一人なら、お金はなくても楽しく生活できます。収入はOL時代の7割くらいに減りましたが、満足度は何10倍にも増えました」。

24時間燃え続ける炉がある工房内は、計測不能なほどの暑さ。「体力勝負なので、体調管理が一番大切です。女性ガラス工芸家が増えたのは、ここ10年くらい。女性ならではの感性を生かしたものを作りたいと思います」。また、“見せる”ということも仕事のうち。毎日楽しんで作っていることが伝わるよう、心掛けているのだそう。

東京都内で、ガラス工芸家として就職口を見つけるのは、容易ではありません。報酬なしに個人工房の手伝いをしたり、工房を借りて制作している場合がほとんど。デモンストレーションをしたり、観光客と触れ合えるという仕事は、地方のリゾート地ならではのようです。「作品を買ってくださったお客様から、『自分が使っていたのを友人にほめられたので、その友人にプレゼントするために、また買いに来た』などと言っていただいたときは、とてもうれしいです」。

柴田さんは、一昨年、今年と、米国コーニングガラス美術館の公募展で入選を果たしました。また、ギャラリーで個展を開いたり、銀座・青山をはじめ、全国でのガラス展に多数出品したりするなど、個人としても意欲的に創作活動をしています。「いつかは独立したいと思っています。でもまずは続けていくこと!ガラスとずっと楽しく向き合えたらいいですね。一つ一つ楽しみながら、創作していきたいです」。

米国コーニングガラス美術館公募展 入選作品
ハレの日の前の日─Sweet things(2001年)

糸文様硝子櫛(2003年)

◎ 世界のガラス館・猪苗代店
 
http://www.narui.co.jp/inawasiro/glass.html


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