【 file52 言語聴覚士 】
話したり聞いたり食べたりすることに障害を持つ人に対して、リハビリを行う専門家が「言語聴覚士(ST、スピーチセラピスト)」。今回は、大阪市の病院で言語聴覚士として働く前田留美子さん(38歳)に、お話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 前田 留美子さん 】

●言語聴覚士歴1年6カ月、38歳。
●「まだ駆け出しなので、週末も勉強!入浴中も、ふと“あの患者さん、こうしてみたらどうかなぁ”などと考えていたりします」


言葉を出すことや、聞くこと、食べることに障害が生まれる原因はさまざま。脳卒中や交通事故など後天的なものもありますし、発達障害の場合もあります。そういった障害を抱える人に言葉によるコミュニケーションができるようリハビリを行うのが「言語聴覚士」です。医師や病棟スタッフと連携しながら、必要な検査を行いリハビリを進めます。

実際の指導は一人につき20〜40分間行うことが多いです。内容は、患者の体調や目標、状況などによってそれぞれ異なります。また、病棟を回って、食べるときの障害の様子もチェックします。「しっかり見られるのは昼食時。食事時間が同じなので、目が回りそうな忙しさです」。患者と接した後は、検査や反応などの内容を記録し、次の訓練内容や教材を考え、理学療法士とのミーティングを行います。このほか、各患者についての治療方針を話し合う会議や、院内の各委員会や運営会議、外部の勉強会にも出席します。

「言語聴覚士」を国家資格として定める「言語聴覚士法」が制定されたのは1997年のこと。人口の高齢化にともなって、脳卒中などによる言語機能障害を持つ人々が増えたことや、聴覚障害を持つ人に対するリハビリの必要性の高まりが背景にありました。1999年より国家試験が実施されています。試験科目は、医学、心理学、言語学、障害学から臨床実習までと広範囲。第5回目の合格率は42%となっています。受験資格を得るには、一般の大学を卒業した人の場合でも、指定養成所で2年以上学ばなくてはなりません。求人数は伸びていますが、それ以上に受験者数は増えているとか。

前田さんは大卒後、12年間会社務めをしましたが「景気に大きく影響を受けず、仕事を継続することがプラスとなる職に就きたい」との思いから退職、2年制の養成校に通いました。学費は前田さんの場合、2年間で約300万円かかっています。

言語聴覚士になって1年半。この仕事は人間相手の職業だと実感しているそう。「時には患者さんの口中の残留物を指でかき出したり、よだれを拭いたり……。こういうことに抵抗のある人には辛い仕事かもしれません。ですが、痴呆で暴れていた方が、リハビリを通じて会話できるようになったり、うれしいことは一杯あります」。

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