【 file65 建築士 】
最近では、メディアなどの影響もあってか、身近な存在になってきている建築士という職業。今回は、主に住宅設計を手がけている、建築士の前島周子さんにお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 前島周子さん 】

●建築士歴16年。36歳
●仕事が佳境に入ると、四六時中図面のことが頭から離れず、いつも追い立てられている気分になるとか。現場監督に文句を叫びながら、夢から目覚めたいう経験も。


【建築士の仕事内容】

建築士は、住宅やマンション、オフィスビルや学校などの建物を設計し、その工事を監理する仕事。前島さんの場合は、主に住宅関係――新築住宅の設計や、中古住宅・マンションのリフォームなど――の仕事をしています。また、店舗などの内装設計を手がけることもあるそうです。

建築士の仕事は、「ヒアリング→基本設計→実施設計→見積もり→現場監理→引き渡し」という、建築のすべての段階に関わっています。最初に行うのが「ヒアリング」。「最終的に満足していただけるかどうかはヒアリングによるところが大きく、依頼主が何を本当に望んでいるのか、引き出していくことを大切にしています」。

次に、「基本設計」。ヒアリングをもとに図面や模型、スケッチなどを用意して打ち合わせを重ね、全体の形から、細部の色、素材に至るまで、さまざまなことを決めていきます。ある程度固まったら、施工業者が工事できるように細かい図面を書く「実施設計」。そして作成した図面をもとに工事の「見積もり」をとり、査定および金額調整を行います。

設計内容と金額が確定して、ようやく工事開始。現場を監理しながら、さらに細かい図面を加えていきます。工事が終わり、依頼主に引き渡して、作業完了。依頼主の状況や規模などにもよりますが、新築住宅の場合で約1年、図面枚数にすると100枚近くも作成するということです。


【建築士への道】

建築士の資格は、木造・二級・一級の3種類に分かれ、それぞれ担当できる業務範囲が決まっています。木造建築士は、のべ面積300平米以下の木造建築物、二級建築士は、500平米以下の建築物が対象となります。一級建築士は業務範囲に制限がなく、高層ビルなどの建築設計も可能です。

二級建築士を受験するには、学歴によって、一定年数の実務経験が必要(大学の建築科卒であれば、実務経験は不要)。前島さんは、インテリア系の専門学校卒業後、設計事務所へ就職。建築関連の業務に携わりながら、7年後に二級建築士の資格を取得しました。

なお、一級建築士を受験するには、ニ級建築士の資格取得後、さらに4年間の実務経験を積む必要があります(大学の建築科卒であれば2年間の実務経験で受験可)。前島さんが一級建築士の資格を取得したのは、二級を取得してから4年後に設計事務所を退職してからのこと。合格率が一割を切るという難関の試験のため、受験目的の専門学校に通う人も多いそうです。前島さんは「過去の問題集をひたすらこなす」という独学で、30歳のときに試験に合格。晴れて事務所を設立し、現在に至っています。


【前島さんの一日】
<一日オフィスで仕事をする日の場合>
7時半: 起床。食事、掃除、ジョギングまたはホットヨガ
9時半: 仕事開始
12時半: 昼休憩
14時: 仕事再開
21時: 夕食、入浴、読書、テレビ、スケジュールやメールチェックなど
26時: 就寝

※実際に工事が動いているときは、半日は現場でとられてしまいます。
その分事務所での作業時間が押したり、現場からの電話対応に追われて1日が終わったりすることも。

【前島さんにお話を伺って…】

生きていくうえで絶対に必要な「住まい」という空間。「住む家に妥協したくない」という思いから、建築士に設計を依頼することは珍しいことでなくなりました。最近では、雑誌やホームページを見た人からの問い合わせで仕事に結び付くこともあります。

住宅建築の各段階で関わってくる建築士という仕事。そのため、やりがいを感じる場面はいろいろあると、前島さんは言います。「たとえば住宅のアイディアを考えるとき。住む人の様子を思い浮かべながら設計していく作業は、楽しくてしかたがありません。また、何度も書いては消し、消しては書いた図面を依頼主に見せるとき。相手の表情がパッと晴れるのを見ると、それを実現していくための不眠不休の苦労が吹き飛びます」。

建築士は、依頼主の家に対する夢や思いを形にする職業といえるかもしれません。「完成した住宅を引き渡して、依頼主が興奮気味に感想を言ってくれるのを聞くと、『やっぱりこの仕事はおもしろい』と心の底から思います」。


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