【 file69 図書館司書 】
読書や調べ物、学習の場として、私たちの身近な存在である図書館。書籍だけでなく、映像や音楽などマルチメディア関係の資料が充実した施設も増えています。今回は、県立図書館に勤務する、図書館司書の吉田麻美さん(仮名)にお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 吉田 麻美さん 】

●図書館司書歴5年。28歳
●県立図書館の郷土資料室に勤務。最近は、ライフワークとして自分のルーツを調べたり、ビジネスで使用する統計的な資料を求める利用者が多いのだそう。


【図書館司書の仕事内容】

図書館司書(以下「司書」)は、都道府県や市町村の公立図書館、大学図書館、私立図書館などで、図書の管理を行う専門職員。仕事内容は、図書館に置く資料の選択と購入、分類整理、貸出・返却業務、資料に関する問い合わせへの対応など。利用者に読書をより楽しんでもらうため、イベントや講演を企画することもあります。

吉田麻美さんが勤めているのは、県立図書館の郷土資料室。郷土の歴史や地理などに関する資料や、江戸時代以前の和装書、古文書などを扱っています。資料の貸出・返却といった基本的な図書館業務のほか、所蔵している資料を紹介するための展示を行ったり、電話や手紙で寄せられる問い合わせに回答したりするのが主な仕事です。「問い合わせがあったときにすぐ答えられるよう、関連する資料のリストを作成するといった作業も、日常的に行っています」。


【図書館司書への道】

図書館司書の資格は、大学や短大で必要な単位を取得すると得られます。また、大学、短大、高等専門学校のいずれかを卒業し、大学が開講する「司書講習」を修了する方法などもあります。公共図書館に勤めるには、原則としてこの司書資格が必要。ただし、図書館への有資格者の配置は義務ではないこと、「司書」という職種で職員を採用するのではなく、一般の自治体職員や大学職員を図書館に配属する場合もあることから、資格を持たずに司書の仕事をするケースも多くあります。

司書として就職するには、それぞれの機関が実施する採用試験を受験します。つまり、公立図書館なら地方公共団体が実施する採用試験、私立大学の附属図書館なら、その大学が実施する採用試験を受験することになります。ただし、司書は採用数が極端に少ないため、就職はかなり厳しいのが実情。司書資格を生かすには、民間の専門図書館や企業の資料室などに勤務する道もありますが、これも採用数は少なく、狭き門です。

県立図書館に勤務する吉田さんは、身分としては地方公務員。本が好きで、子どもの頃から図書館をよく利用していましたが、司書の仕事に関心を持ったのは大学生のときでした。「レポートや卒論の調べ物をするために図書館に通ううち、調べ物を通じて個人の世界を追求できる図書館の意義を知り、興味を持つようになりました」。通っていた大学では司書資格が取得できなかったため、別の大学の通信制課程に通い、4回生のときに司書資格を取得。卒業後は3つの公立図書館でアルバイトや非常勤職員として働き、翌年、現在の職場に採用されました。


【吉田さんの一日】
6時半: 起床。テレビのニュースを見る
8時: 出勤。窓を開けたり、コンピュータ端末を起動したり、書架の乱れを整えるなどの開館準備
9時: 開館。貸出・返却などのカウンター業務をしながら、新着図書の受け入れなどの細々とした作業を行う
13時: 昼の休憩の後、再び仕事。午後はカウンターが混んでくることが多いので、カウンター業務が中心
16時: 本の書庫戻し、棚の整理などを集中的に行う
19時: 閉館。帰宅後は新聞を読むなどして過ごす
25時: 就寝

【吉田さんにお話を伺って…】

利用者からの問い合わせに対応するには、取り扱う資料の内容まで把握している必要があります。古い資料を扱う吉田さんの場合、古文書を解読するのも仕事のひとつ。休憩時間に上司から指導を受けたり、グループで勉強会を開くなどして勉強を続けています。「優秀な先輩司書は、休日にも関心のある勉強会に参加するなど、知識を深めるための努力をしています。そういった時間をいかに確保していくかが課題です」。

司書に向いているのは、さまざまな分野に興味がある人。多彩なニーズに対応するには、文学だけでなく、歴史、経済、科学、芸能文化、ワイドショー的なことまで、常にアンテナを張っておく必要があります。「法律に強い、近世文学に強い、はたまたアニメのことならばっちりなど、専門分野を持っている人は重宝されます」。それに加えて、利用者とのコミュニケーションが大切なので、人と関わるのが好きなことも大切。また、図書館の仕事は地道な作業の連続でもあります。「基本的なことですが、本を番号順に並べるなどの単純作業も、飽きずに続けられる人が向いていると思います」。

司書の仕事の魅力は、「さまざまな資料を扱う中で、世界の広さのようなものを感じ取れること」。利用者の希望を聞き、資料を探していく中で、自分も広範な知識を自然と得ることができます。これこそ、司書の“役得”と言えることかもしれません。「図書館には、さまざまな分野の情報を求める人たちが集まってきます。そんな人のために多様な資料をそろえておき、必要があったときに適切な資料を案内して満足してもらえたとき、とてもやりがいを感じます」。

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