【 file70 シューフィッター 】
人間の足は、顔と同じで、人それぞれに異なるもの。合わない靴のせいで、トラブルを抱えてしまうこともあります。今回は、足にフィットする靴を選ぶスペシャリスト、シューフィッターの今榮(いまえ)順子さんにお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 今榮 順子さん 】

●シューフィッター歴10年。40代。
●神奈川県藤沢市にある『靴のみやざき』に勤務。「近頃はシューフィッターの資格もかなり認知され、お客様からも信頼していただけているようです」


【シューフィッターの仕事内容】

シューフィッターの主な仕事は、足の疾病予防の知識をもとに、顧客の足に合う靴を選ぶことです。今榮順子さんは、上級の「バチェラー・オブ・シューフィッティング」の資格を持つシューフィッター。まず、フィッティングを希望する人の足囲・足長などを測り、フットプリントで足型をとり、ピドスコープという機械で立った時の重心を調べます。その上で、どんな場面ではく靴を探しているのかや、デザインの好みなどを聞いて、お勧めの靴をアドバイス。実際に履き心地を試してもらいながら、より希望に合う靴を選びます。


【シューフィッターへの道】

シューフィッターは、靴の研究団体である「足と靴と健康協議会」が養成し、資格を認定しています。グレードは、初級のプライマリー・上級のバチェラー・最上級のマスターの3段階。3年以上の実務経験を経て、養成講座を受講し、足型採寸の実技試験と筆記試験に合格すれば、プライマリーとして認定されます。なお、プライマリーは基礎的なレベルですが、バチェラーでは、かなり踏み込んだ段階まで習得。靴の専門知識とフィッティング技術だけでなく、靴のための人間工学である、足の構造・機能・病理・老化なども幅広く勉強し、課題も数多くこなした上で認定されます。

結婚をきっかけに、それまで勤めていた保険会社を退職して専業主婦をしていた今榮さん。子どもが小学校に入学したのを機に、現在の靴店に再就職しました。「仕事をするうちに、デザインだけで靴を選んでもらうのではなく、その人に合った靴をフィッティングしたい、そのための専門知識がほしいと強く感じるようになり、シューフィッターの資格を取ることにしました」

靴専門店の販売員だけでなく、デパートやスーパーの靴売り場の担当者など、シューフィッターの資格を取る女性は年々増えてきているとか。「男性より女性のほうが、靴に関心がある方・トラブルを抱えている方の割合が高く、フィッティングを希望される人数も多いです。女性シューフィッターには、パンプスを履き続けたときの痛みなどが実感として分かるという利点もありますね」


【今榮さんの一日】
5時半: 起床。家事、ウォーキングなど
9時半: 出勤
10時: 開店準備、パソコンで顧客データ整理、接客開始
17時: 翌日の準備をしてから退店
18時: 帰宅。家事、DVD鑑賞、専門誌を読むなど
24時: 就寝

【今榮さんにお話を伺って…】

靴が本当に合うかどうかは、足の数値を細かく測るだけでは不十分。痛みや当たるところがないかなどは、実際に履いてみないと分かりません。また、足の形に合う靴であっても、それまで履き慣れていた靴と感覚が違っていると、最初のうちは「足に合っていない」と誤解されることもあります。「仕事を始めたころは、違和感があると言われると、そのまま苦情と受け止めてしまっていました。お客様にうまく伝えられず、落ち込んでしまうことも。今はまず、お客様の話をよく伺い、合っている靴を履き続けることの大切さをじっくりお伝えすることで、ご理解いただけるようになりました」

この仕事にやりがいを感じるのは、「足が疲れにくくなったので、出かけるのが楽しくなった」「旅行で1日履いていたけれど、ラクだった」などと言われた時。健康を気遣う人、足に負担のかかる立ち仕事をする人の役に立てていることもうれしいそう。

今榮さんは、近隣の公民館などで一般の方に講演をすることもあります。「日本は靴との関わりの歴史が浅く、足や靴に関する意識が低いため、靴本来の“外界から足を守り、支え、歩くのを助ける”という役割が忘れられがちです。足に合った靴は、大人だけでなく、成長する子どもの足にも、お年寄りが自分の足で長く歩き続けるためにも大切です。そのためにも、もっと勉強し、消費者の方に靴の重要性を伝えていきたいです!」


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