【 file81 自動車教習所指導員 】
自動車やバイクの運転免許証を取得するとき、多くの人がお世話になる自動車教習所。今回は、自動車教習所で指導員・検定員をしている、橋本涼子さんにお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 橋本涼子さん 】

●公安委員会指定自動車教習所 指導員歴6年、検定員歴2年。27歳。
●家族は夫と愛犬2匹。大型車、大型二輪、大型特殊など、すべての運転免許を持っている。


【自動車教習所指導員の仕事内容】

自動車教習所には、都道府県公安委員会指定のもの(以下、指定自動車教習所)と、指定外のものとがあります。橋本涼子さんは、指定自動車教習所の指導員。修了検定や卒業検定を行う検定員でもあります。

橋本さんの主な仕事内容は、教習生に交通法規や運転のマナーなどを教える学科教習、教習コースや路上を実際に走行する技能教習、そして技能検定の検定員。そのほか、ペーパードライバーや高齢者向けの講習なども行います。教習車や教室の清掃、交通安全イベントの企画といった裏方の仕事を担当することも。


【自動車教習所指導員への道】

橋本さんが指導員の仕事に興味を持ったのは、バイクの免許を取得するために教習所に通った16歳のとき。「自分が四苦八苦しているバイクを乗りこなしていて、かっこいいと憧れました」。車やバイクが好きだったこと、さらに、両親や祖母が教師で、人にものを教える仕事に関心があったことから、指導員を目指すようになりました。

そして短大を卒業した20歳のとき、自分が通った教習所にアプローチし、教習指導員の見習いとして入社。指導員の受験資格が得られる満21歳になるまでは、受付業務や教材作成などをしながら勉強し、21歳で指導員資格を取得しました。そして、検定員の受験資格が得られる25歳になったところで検定員の資格も取得。指導だけでなく、検定も担当するようになりました。

なお、指定自動車教習所の指導員になるには、都道府県の公安委員会が行う審査に合格する必要があります。橋本さんのように自動車教習所に「指導員見習い」として入社し、雑務をこなしながら勉強して資格を取得するケースが一般的。ただ、自動車教習所は採用数が少ないため、見習いとして入社するのは簡単ではありません。橋本さんは、複数の自動車教習所に履歴書を送り、自分から積極的に売り込むことで入社を果たしました。

指導員を目指して自動車教習所に入社するには、普通車と自動二輪車の免許は欠かせません。さらに、それまでの運転歴が「無事故・無違反」であることも重要な要素です。それに加えて、ガソリンやオイルを扱うこともあるため、危険物取扱者の資格があるとアピールポイントになります。また、教習生の送迎バスを運転する大型免許、託児所がある教習所なら保育士、耳の不自由な方や外国人の教習生に対応するために、手話や外国語ができることもプラスになります。


【橋本さんの一日】
8時: 起床。洗濯や簡単な掃除
9時: 出勤。教習車の清掃や教習の準備
10時: 高齢者講習
13時: 昼食
13時半: 卒業検定
16時半: 休憩
17時: 技能教習、応急救護教習
21時: 日報記入、片付け
22時: 帰宅。食事、犬の世話など
26時: 就寝

【橋本さんにお話を伺って…】

橋本さんが勤務する自動車教習所で、指導員として働いているのは25名。女性はそのうち3名です。橋本さんとしては、女性指導員はどうしても「ナメられる」ことが多いと感じるそう。また「女性指導員=優しい」という先入観があるためか、男性指導員と同じことを言っても「キツイ」「厳しい」と受け取られることもあります。そして、女性が増えてきたとはいっても、職場の雰囲気は男性中心。「男性の補助的な役割を求められることが多いので、その点ではもの足りなさを感じることもあります」

勤務時間の定時は正午から21時まで。定時より前が残業時間になる「前残業」で、9時〜10時頃から21時まで勤務することが多いそう。勤務時間と仕事内容のバランスを考えると「収入は少ないと感じます。残業をしないと生活費が足りないくらい」(橋本さん)。でも、仕事のやりがいは大きいそう。「交通事故が減ると、間接的ではありますが、地域社会に貢献できているという実感がわきます」。

教習生が運転する車に同乗して教習を行うには、運転の技術や知識だけでなく、的確な観察力洞察力が必要です。「教習生の視線に注意を払いつつ、周囲の交通状況の変化にも目を向けて、ミスがあってもすぐカバーできなくては指導員は務まりません」。また、教習生との信頼関係を築くことも大切。「この先生はよくわかってくれている」と感じてもらえれば、教習はスムーズに進み、上達や理解も早くなります。

少子化の影響もあり、厳しい経営を迫られている自動車教習所。教習生を集めるために、サービスの向上に努めている学校も多々あります。ただ、車の運転は常に危険と隣り合わせ。一度の事故で人生が変わることさえあります。「この仕事は『接客業』『サービス業』であるとともに、『教育機関』であることも忘れてはいけないと思います」

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