【 file89 弁理士 】
私たちの周りにある新製品は、多くの「特許」によって保護されています。このように、発明を強い権利に育て上げるスペシャリストが弁理士。今回は、浅野典子さんにお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 浅野典子さん 】

●弁理士歴4年。38歳。夫と二人暮らし。
●東京と金沢に拠点をおく弁理士事務所に所属。東京事務所をメインに、月に2、3回は金沢事務所に出張。セミナーの講師をすることも。


【弁理士の仕事内容】

主に、特許、実用新案、意匠、商標などについて、特許庁に登録する手続きを出願者に代わって行います。例えば、「出願書類の作成」は、書き方によっては特許権の取得や権利範囲が変わってしまう大変重要な作業の一つ。その発明を十分に理解して本質を見極めたうえで、従来の技術との違い、権利範囲の設定などを検討します。より良い権利にするために、弁理士サイドから意見を提案、追加実験や別の実施例の検討をお願いすることも。いずれの手続きにも、法律で定められた期限があり、1日でも間違えることはできません。また、同じ発明の場合、早く出願した人の特許になるため、スピーディに作業する必要があります。

浅野さんはこのほかに、ある大学の特許相談会の相談員も担当しています。学生や教官から研究内容を聞き、アドバイス。いろいろな研究に触れることができ、非常に勉強になるそうです。個々の弁理士の専門分野は、卒業大学や大学院での専攻や、弁理士になるまでに研究所や会社などで担当した分野になることが多いとか。また、特許事務所で扱うジャンルを勉強して、専門分野に加えていくこともあります。


【弁理士への道】

弁理士になるには、国家資格の弁理士試験に合格しなければいけません。平成18年度は最終合格者635人で、合格率6.8%とかなりの難関。もちろん、資格をとったら終わりではなく、実務経験を積むことによって、弁理士として認められるようになります。

浅野さんは、大学院卒業後に入社した企業で働きながら、スペシャリストとして働く道を探していたそう。調べていくうちに、弁理士という職業を見つけたとか。新技術に関わっていけることや、知的財産の重要性や将来性に惹かれ、弁理士資格取得に向けて勉強スタート。対策講座に通学しましたが、夫の都合で石川県に転居。通信教育で勉強を続けながら、現在の事務所(金沢)に就職。そして、平成14年に合格。「職場は資格取得に理解があったので、仕事と受験勉強を両立することができました」


【浅野さんの一日】
<クライアントに出向いた、ある日の場合>
7時半: 起床。家事。出勤の準備
10時: 事務所にてデスクワーク
特許書類の作成
午後の打ち合わせの準備
13時: 昼食
14時: クライアント先にて打ち合わせ
16時半: 事務所に戻る
特許書類の作成
20時半: 帰宅。夕食、入浴、家事など。ゆっくり過ごす
26時: 就寝。仕事の期限が近いときは仕事をすることも

【浅野さんにお話を伺って…】

増えてきているとはいえ、まだまだ少ない女性弁理士。浅野さんも、石川県で初の女性弁理士です。「書類の表現、進行上のさまざまな期限の管理など、繊細な部分が多い仕事なので、女性に向いている職業。もっと多くの方に知っていただきたいです」

最近、周囲から“権利化は無理”と言われたほどの難しい案件を担当し、特許権にすることができました。「クライアントの立場に立ち、諦めずにベストを尽くすことの重要性を、あらためて感じました」

浅野さんの目指す弁理士像は、特許に関する単なる手続き代理人ではありません。「発明に込められた発明者の思い、権利を経営に活用したい出願人の思いなど、発明に関わる人の様々な思いを大切にしたいと思います」


◎ 木森国際特許事務所
http://www.kimori-patent.com/

 

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