【 file90 医療ソーシャルワーカー 】
病気になったときに気がかりなのは、治療のことだけではありません。お金のこと、身の回りのこと、家族のこと…。そんなさまざまな悩みの相談にのってくれるのが、医療ソーシャルワーカー。今回は、榊原佳織さんにお話を伺いました。
■■ プロフィール ■■

【 榊原佳織さん 】

●医療ソーシャルワーカー歴9年。32歳。
●患者さんとのコミュニケーションがパワーの源。「体調を崩して休職していたときにも、逆に患者さんからの言葉で元気づけられ、現場に復帰できています」
※写真左から2番目が榊原さん


【医療ソーシャルワーカーの仕事内容】

医療機関で治療を受けるときに、患者にとって頼りになるのが医療ソーシャルワーカー。「医療費の負担を軽くしたい」「家族の世話はどうしたらいい?」「退院してからの生活が心配」といった悩みを相談できる存在です。もちろん、すべての悩みを解決できるわけではありませんが、必要な情報を提供し、患者の状況に合った福祉サービスや施設を紹介するなどして、問題解決を手助けしています。

榊原佳織さんが勤めているのは、透析を専門にした医療機関。透析を始めることになった患者に福祉サービスを説明したり、通院の際の介護サービスを紹介したりして、スムーズに透析が受けられるよう相談にのっています。入院中や透析中の患者のところを訪ねて回って、困っていることはないか尋ねることも。担当医師や看護師、院外のケアマネージャーと連携して、患者の状態を確認したり、相談したりするのも重要な仕事です。

そのほか、透析を導入する前の患者を対象に行われている院内勉強会で講師を務めたり、透析施設の見学や、入院患者の外出の付き添い、カルテ開示や個人情報の取り扱いについての相談なども行っています。

なお、榊原さんのように医療機関で働くほか、老人保健施設や在宅介護支援センター、福祉事務所などに勤める場合もあります。


【医療ソーシャルワーカーへの道】

現在のところ、医療ソーシャルワーカーになるために、特に資格はいりません。しかし実際には、専門学校や大学などで福祉を学んで、国家資格の「社会福祉士」を取得し、医療機関に就職する場合が多いそうです。

榊原さんも、大学では社会福祉学を専攻しました。医療ソーシャルワーカーを目指したのは、家族が入院して心細い思いをしたという経験から。「気軽に相談できる人が病院にいたらいいのに…」と感じていた頃、医療ソーシャルワーカーの存在を知って、自分の進むべき道を決めました。「大学での専門の勉強で、ソーシャルワーカーとしての視点や価値観を学ぶことができたと思います。施設見学や現場での実習、障害のある方や現場で働く先輩による講義も、いい勉強になりました」

「社会福祉士」の資格を持っている榊原さんですが、医療系の資格を持つスタッフがほとんどの職場の中に、文系の人間が入っていく難しさを感じることもあるのだそう。「今でこそ、少しずつソーシャルワーカーの名は浸透してきていますが…。先輩からは、ソーシャルワーカーが医療機関にいる意味をスタッフへ理解してもらうために、いろいろと苦労されたと伺っています」

もちろん、患者とのコミュニケーションが必要な仕事ですから、医療関係の専門分野について、疾病や治療法、リハビリや介護の内容をある程度理解できる知識は必要です。「これらはほとんど、就職後に、本を読んだり、スタッフに教えてもらいながら勉強しました」


【榊原さんの一日】
6時: 起床、朝食など
9時: スケジュールの確認、入院患者の確認、カルテやスタッフから患者の状態確認、 ケアマネージャーへの連絡、相談など
10時: 相談室にて患者の家族と面接
11時: 病棟・透析室を訪床し、患者との面接
12時: 昼食
13時: 社会資源・制度について関係行政機関へ問い合わせ、資料作成
15時: ケース記録の作成
16時: ケアマネージャー、医療機関、施設など関係機関への連絡、 患者の家族と面接
17〜18時: 業務終了、帰宅
23時: 就寝

【榊原さんにお話を伺って…】

榊原さんに医療ソーシャルワーカーに必要な資質を尋ねたところ、「まず、人間が好きであること。あと必要なことは、人としての優しさや温かさ、豊かな感性、人への感謝や尊敬の気持ち、そして根性、努力、探求心ですね」という答えが返ってきました。社会福祉や医療に関する幅広い知識と経験が必要な仕事ですが、「患者=心細い思いをしている人間」を相手にする仕事だという点を、何より忘れてはいけないのでしょう。

結婚や出産後も続けられる仕事かどうか気になるところですが、「私個人としては、結婚や出産はいろいろな経験ができるチャンスだと思います。その経験を仕事に生かすことができれば、よりよい仕事ができるのではないでしょうか」

医療ソーシャルワーカーはすべての医療機関にいるわけではありませんが、悩みを抱える人々が増えている今、活躍の場は今後いっそう広がりそうです。


◎ 特定医療法人 仁真会
http://www.shirasagi-hp.or.jp/

 

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