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      ◇◇ 2007年 2月のカルチャー情報 ◇◇

  【本】 フィッシュストーリー
  【本】 無銭優雅
  【音楽】 タイム・コントロール
 

【舞台】 グランド・ロマンス『明智小五郎の事件簿――黒蜥蜴(トカゲ)』

  【 本 】
 

【 フィッシュストーリー 】
●新潮社/1470円

表題作「フィッシュストーリー」を含む全4作を収録した短編集。夜中、動物園で寝転ぶ奇妙な男の行動を追う「動物園のエンジン」、とある集落に古くから伝わる不気味な伝承と謎を解く「サクリファイス」、空き巣を生業とする男とその恋人とのおかしな恋愛を絡ませながら、複雑な親子関係を描く「ポテチ」。多様なテーマで人間関係を軽妙に綴り、爽やかで不思議な余韻を残す。装丁は表題作の着想を作者が得た三谷龍二氏の作品。


【インタビュー】

伊坂幸太郎さんの新作『フィッシュストーリー』は様々な角度から人間関係をミステリー調で描く短編集だ。現実にありそうでない不思議な出来事が、小気味よく描かれる。

表題作はアルバムを製作中の売れないロックバンドと、そのレコードを聴いた男性、その息子、そして彼に偶然出会う女性らの物語だ。彼らは皆、魚を題材にしたある小説を読んでいるという共通点を持ち、時代も場所も違うところで生きていながら、少しずつつながっていく―。

「自分自身も関知しないところで、誰かと自分がつながっていて、知らないもの同士の人生に影響を与え合っているのかもしれない。僕はそんな人間のつながりのおかしみや、切っても切れない人間の縁に興味があるんです」
(インタビューの続きは本誌で…)

●伊坂幸太郎さん
71年、千葉県生まれ。仙台市在住。00年『オーデュポンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞。以後、ミステリー作家として、題材のジャンルを広げつつ旺盛な執筆活動を続けている。『重力ピエロ』『ラッシュライフ』で描かれた登場人物「黒澤」は著者自身も好きなキャラクターで、本作にも登場させている。ミステリーだが、ミステリーとしてだけではない楽しさ、奥深さを感じさせる“伊坂ワールド”。独特の世界観を作り上げ続けている。

  【 本 】
 

【 無銭優雅 】
●幻冬舎/1470円

42歳の斉藤慈雨は、生花店で働きつつ親元でいまだに暮らす独身女性。そんな彼女がとあるバーで運命的に出会ったのが、同い年の北村栄。哲学をかつて専攻していた慈雨と、塾で国語の教師をする栄は共に読書好き。「人生を描くには傑作と三文小説のどちらもが必要」という栄の言葉の通り、ふたりは傑作小説を読みながら、まるで三文小説のようなささやかで卑小な暮らしの中に、恋愛の喜びと確実に来る死の気配を見いだしていく。


【インタビュー】

山田詠美さんの新作『無銭優雅』の主人公、慈雨と栄は共に42歳。「実感がわかないし、嘘はつきたくないから」という理由で、山田さんは常に自分より年下の人物を主人公に設定する。

40代の恋愛、と聞いた時、連想するのは達観した男女関係かもしれないが、タイトルが示す通り、ふたりの暮らしは、貧乏で不器用。だが、彼らの紡ぐ恋愛の空気は濃密で豊かで、ほのぼのとしている。

「年の功かしら。若い頃は自分のことしか頭になくて、周りと同じようにイベントに夢中になるでしょう? けれど年を重ねると、相手への奉仕が自分の悦びに直結する。誰に見せるものでもない、ふたりの密室の楽しみが素敵に思えてくる」

ふたりは言葉を交わし合い、本を読み合い、互いを抱き留め合う。

「言葉って、恋愛においてとても楽しいツールになるんです。今回は長年読書に親しんできた恋人たちの姿を描きたかった」
(インタビューの続きは本誌で…)

●山田詠美さん
59年東京都生まれ。85年『ベッド・タイム・アイズ』(河出書房新社)で文壇デビューして以降、次々に話題作を発表し続けている。03年には9.11同時多発テロ事件を題材にした長編小説『PAY DAY!!!』(新潮社)を発表。06年は『風味絶佳』で第41回谷崎潤一郎賞を受賞。受賞作は映画化もされている。小説だけでなく、人気エッセイ『熱血ポンちゃん膝栗毛』(新潮社)も昨年暮れに上梓。新作『無銭優雅』は4年ぶりの書き下ろし長編小説。

  【 音楽 】
 

【 タイム・コントロール 】
●ジャズピアニスト:上原ひろみさん

ピアノ、ベース、ドラム、ギターからなる新プロジェクト“HIROMI'S SONICBLOOM”による新作。心のなかの時間旅行をテーマにした『Time Travel』、夜の持っている不思議な雰囲気を想起させる『Deep into the night』など、“時間”をテーマにした楽曲には、世界最高峰の演奏テクニックと豊かなストーリー性がしっかりと融合している。2500円。2月21日発売(ユニバーサル クラシックス&ジャズ)。


【インタビュー】

昨年、ニューヨークの老舗ジャズクラブであるブルーノートに2年続けて出演。さらにミラノコレクションへの出演、矢野顕子とのデュオコンサートなど、まさにワールドワイドな活動を続けているジャズピアニスト、上原ひろみさんから1年4カ月ぶりの新作『タイム・コントロール』が届けられた。ピアノトリオにギターを加えた新プロジェクトによる本作は、タイトルどおり、“時間”をテーマにしたオリジナル曲で構成されている。

「05年に『スパイラル』というアルバムを作ったとき、ピアノ、ベース、ドラムによる3人のサウンドが確立したという手ごたえがあったんです。だから今回の作品では、出来上がった音を壊したくて、新たにギタリストに加わってもらいました。行く先が想像できるものではなく、“どうなるか分からない”というものが好きなんですよね、もともと。時間をテーマにした理由は、これだけ移動の多い生活をしていると、どうしても時間というものに向き合わなくちゃいけないから。生活の中にある時間と音楽の中にあるタイム感を交差させて曲を書くのは、とても面白い体験でした」
(インタビューの続きは本誌で…)

●上原ひろみさん
79年静岡県生まれ。6歳よりピアノを始め、20歳で渡米、ボストンのバークレー音楽院に留学。在学中から全米各地のジャズフェスティバルに参加し、卒業を待たずに全米デビュー。03年、アルバム『アナザー・マインド』で日本デビューを果たす。

  【 舞台 】
 

【 グランド・ロマンス『明智小五郎の事件簿――黒蜥蜴(トカゲ)』 】
●宝塚歌劇団花組・主演男役:春野寿美礼さん

宝石商・岩瀬のダイアモンドを狙う黒蜥蜴は、金持ちの夫人に扮して岩瀬一家に近づく。憂いを秘めた明智と、変幻自在に姿を変える女賊・黒蜥蜴とのスリルとサスペンスに満ちた物語。ショー『TUXEDO JAZZ』(荻田浩一演出)と併演。2月9日〜3月19日宝塚大劇場。4月6日〜5月13日東京宝塚劇場。黒蜥蜴に桜乃彩音。
問い合わせ 電話:0570-00-5100(宝塚歌劇インフォメーションセンター)。


【インタビュー】

江戸川乱歩原作の『黒蜥蜴』といえば、三島由紀夫の戯曲をはじめ、これまで数々の演出で舞台化、映像化されてきた。美輪明宏や坂東玉三郎が黒蜥蜴役を演じ、耽美的なストーリーで知られる。それが今回は『愛』と『夢』を看板にするタカラヅカの舞台に。花組トップスター、春野寿美礼さんが演じる明智小五郎にスポットを当てての展開となる。

「乱歩作品は暗く、怖〜いイメージで、まさにタカラヅカらしくないのですが、そのミスマッチが逆に見どころ。怪盗・黒蜥蜴を追う探偵・明智の淡々としているようで、その裏に秘めた情熱、葛藤を表現できればと思っているんです」

謎めいた存在の黒蜥蜴に、ひそかに心惹かれながら、彼女を追い詰める明智。実はふたりは戦時中に生き別れになった兄妹…というのがタカラヅカ版ならではの演出。悲劇的な結末は、歴代作品を踏襲しているが、華やかにナンバーを歌い上げる場面もある。「なかなか難しそうな役どころでしょう(笑)」(インタビューの続きは本誌で…)

●春野寿美礼さん
東京都生まれ。91年、宝塚音楽学校卒業と同時に宝塚歌劇団に入団。02年、花組主演男役に就任。『エリザベート』のトート(黄泉の帝王)、『ファントム』のエリックなど、歌唱力を生かした役が高い評価を得る。その端麗な姿は「正統派男役」の呼び声が高く、多くのファンを魅了している。