【インタビュー】
初のエロティック短編集『とける、とろける』を上梓した唯川恵さん。本書の収録作のうち「夜の舌先」を書いたことが、官能をテーマにした作品群が生まれるきっかけとなったのだそう。
「エロティシズムを意識した短編を、という依頼をいただいて『夜の舌先』を書いてみたら楽しかったんですね。セックスに至る前の女性の複雑な感情を描くときは悩むんですけど、セックスそのものになると、動物的な部分を思い切ってむき出しにできるというか。“次はどんな形にしよう?”とか、体育会系のノリで書けたので(笑)」
「夜の舌先」の主人公は、いつのまにか“ただそこにいるだけの、時にはいることさえ忘れさられている、会社の備品のような女”になってしまった30代の会社員。彼女は旅先で、他人と夢を共有できる不思議な香炉を買い、密かに思いを寄せる年下の男とめくるめく逢瀬を繰り返すが…。現実と妄想、正気と狂気、生と死がまさに“とける、とろける”一編だ。
(インタビューの続きは本誌で…)
●唯川恵さん
55年金沢市生まれ。銀行勤務などを経て小説家デビュー。02年、『肩ごしの恋人』で直木賞を受賞。その著書には女性の生き方に関するヒントがいっぱい。本書収録の「夜の舌先」の主人公は“勘違いする女にだけはなりたくなかった”という。「私も同じ。でもその時点で勘違いしてたんだよね。仕事ばかりしていた30代のころは“私はこう見えて家庭的”と思っていたのに、実際に結婚したら全く家庭的じゃなかった(笑)。ないものねだりをしていたんですね」
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